明治乳業の粉ミルクが飛ぶように売れる中国のインターネットショッピング事情市場は毎年倍々ゲームで拡大

2010年09月13日(月) 近藤 大介
upperline

 中国で、ネットショッピングのブームに火がついたのは、2003年春に起こったSARS騒動だった。自宅にいながら商品を購入できるネットショッピングなら、SARSの感染を恐れずに済むというわけだ。この時、杭州で英語教師をやっていた馬雲氏が興したアリババ社の「掏宝」が一世を風靡した。

 「掏宝」はいまや、中国ネットショップの84.4%を占める寡占状態となっており、「アリババ帝国」と称される。この7月より、ソフトバンクと提携して日本市場にも進出した。

 中国のネットショッピングの販売額は、2008年が1257億元で、昨年は2586億元に達した。だが今年は、上半期だけですでに、2118億元に達している。つまり、毎年倍々で、市場規模は拡大の一途を辿っているのである。今年は、ネットショッピングの占める割合が、全体の5%近くまでいくと予測されている。

粉ミルクをねらい打ちにした課税措置

 この中国のネットショッピングの勃興は、「中国頼み」の日本経済にも、この上ない追い風となるに違いない。

 例えば、いまネットショッピングで一番人気の商品と言えば、明治乳業の粉ミルクである。粉ミルクは、最近ある中国の調査会社が行った「中国人がもらって嬉しい海外商品ランキング」で、17%を獲得し、トップに立った。中国では2年前に、毒性粉ミルクによって乳幼児が次々に死んでいくという痛ましい事件が起こった。

 そしてこの夏には、やはり毒性粉ミルクによって「性早熟奇形児」が大量発生し、大きな社会問題になっている。わずか5歳の女の子が、豊満な乳房を持ったりしているのだ。

 このため、乳幼児を持つ親たちの間では、絶対的な「安全神話」を誇る日本製粉ミルクの入手が急務になっている。そこで、ネットショッピングでは、明治乳業の粉ミルクが、一ヵ月に4000缶も売れる大ヒット商品となっているのだ。あまりに売れすぎて、「ニセ明治乳業粉ミルク」まで叛乱する状況になってしまったが。

 中国じゅうの親たちが、明治乳業の粉ミルクに殺到するようでは、中国政府のメンツは丸つぶれである。このため中国政府は9月より、これまで500元以下の個人輸入商品を対象に行ってきた免税措置を、50元以下に引き下げた。課税額は、モノによっては5割もかかる。

 ひと缶約200元の明治乳業の粉ミルクをターゲットにしたのは一目瞭然だ。この措置によって、日本製のファッションやら化粧品までも、とばっちりを受ける結果となってしまった。

 一見煌びやかに映る中国ビジネスに、「安全神話」はないということだ。

前へ 1 2

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ