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 僕の友人で毎年、夏のお中元シーズンになると、福島県産の立派な白桃を贈ってきてくれる人がいます。わが家では、家族一同その桃を毎年とても楽しみにしているわけです。つい先日、食卓で「今年の桃は、どうなるんだ?」と、かなりの心配事として話題になりました。「きっと岡山か山梨に産地を変えて、贈ってもらえるよ」などと都合のよい予想をしながら、僕はハタと気付いたわけです。

 「こんなときだからこそ、風評に踊らされずに福島を応援しましょう!」と力強いメッセージが添えられて、例年通りに福島産の白桃が贈られてきたら…僕ら一体どうするだろうかと。僕らも例年通り、無邪気に「美味しそう」と笑いながら桃をガブリとほおばることができるだろうか。

 3.11東北を襲った大地震の被害の大きさ、深さを県別、市町村別に比べることに意味があるとは思えません。ただし、今回の震災の中で、唯一、他とは性質の異なるダメージを受けている人たちがいます。それは言うまでもなく「福島県」の皆さんです。原発事故によって、「福島県産」ブランドは大きく傷つきました。

 そのネガティブなブランドイメージは、キュウリやレタスなどの野菜やさくらんぼや桃など果物はもちろん、猪苗代湖や会津地方の観光地まで極めて広範囲に及んでいます。

 この問題について“風評”という言葉が使われますが、消費者は「福島県産」をどう見ているのでしょうか。送り手である生産者・供給者の心理と受け手である消費者の心理の間にはギャップがはっきりと見て取れます。究極のソーシャル・マーケティングとして…

 原発事故後の「福島県産」の風評とリスクについて考えてみたいと思います。果たして、読者の皆さんは、福島県産の野菜や果物をガブリとほおばることができるでしょうか。

次ページ  ご存じの方も多いと思いますが…
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