インサイダー取引や粉飾決算など証券市場に巣くう不正を摘発する証券取引等監視委員会(日本版SEC)。その陣頭指揮をとる佐渡賢一委員長が、異例の「特捜批判」をして、霞が関に波紋を広げている。
問題の発言が飛び出したのは、インターネット新聞「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」に掲載された佐渡委員長へのインタビュー記事(計4回)最終回だ。
東京地検特捜部が摘発した大手建設コンサルタント会社経営者による特別背任事件が無罪になった"失態"について触れ、「法律議論なんかしなくても結論が見える一般常識の問題なんだ。検事の感覚がおかしくなっているのか」と発言。
1、2審とも無罪判決だった事件に対し、検察側は結局、今年5月に上告を断念し完全に白旗を揚げたが、「経営の実態をある程度知っていれば、すぐわかる」と"無理筋"捜査を糾弾したのだ。
それだけではない。
大阪地検特捜部が手がけた郵便不正事件をめぐる厚労省局長の逮捕については、「政治家ルートをできなかったところで、そもそも捜査は失敗している」。敗北に終わった小沢一郎氏への捜査についても「全体にメリハリが足りなかった印象だ」と歯に衣着せぬ発言が続いた。
SECからみて特捜部は証券犯罪を二人三脚で捜査していく盟友である。しかも佐渡氏にとって、かつて高検検事長として腕を鳴らした古巣でもある。「それだけに今の検察のふがいなさが目に余っているということでしょう」とSEC関係者は言う。
検察内部は「耳が痛い部分もあった」(幹部)と佐渡発言を"正論"として受け止めているようだが、特捜部の捜査能力劣化は確かにひどい。
「最近は独自に捜査してあげた大型事件はほとんどなく、SECや国税がみっちり調べ上げて告発してきた案件を処理するばかりです」(全国紙社会部記者)
特に佐渡委員長が危惧するのは、「指揮系統のどこかに問題がある」と語るように、検察組織に巣くう病理の深刻さだ。かつて"最強"と言われた捜査機関に、佐渡発言がどれだけ響くかは、心許ない。
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