ポスト争いが主眼の民主党代表選――。その結果、ますます見えなくなってしまったのが郵政改革法案の行方である。
郵政改革は、長年、「官主導」の政治を容認してきた自民党が、市場に決定権を委ね、小さな政府で開かれた政治を行おうとする際の象徴だった。だから当時の小泉純一郎首相は、「自民党をぶっ潰す」といい、その矛盾した表現で逆に支持を集め、2005年9月11日の総選挙で大勝した。
当然、小泉政権は郵政改革を断行、持ち株会社の日本郵政の下に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、郵便局会社、郵便事業会社の4つがぶらさがる郵政民営化法案が成立、日本郵政の社長には三井住友銀行元頭取の西川善文氏を招請した。
そうした「小泉改革」がもたらす市場主義の息苦しさから逃れ、「反霞が関」を鮮明にする民主党に一度、政権を委ねようとの思いから、昨年夏の総選挙で国民は民主党に勝利をもたらした。
安定政権を目指す民主党は、国民新党、社民党と連立政権を発足させた。そして「小泉郵政改革」の象徴としてのかんぽの宿問題を、国会で追及。さらに民営化を元に戻し、事実上、国が管理する郵政改革法案が上程された。
しかし法案成立の直前、参院選で民主党は大敗、郵政改革どころではなくなった。民主党は敗北の原因に、なんでも国が抱え込み、大借金など歯牙にもかけない国民新党の亀井静香代表への反発もあると分析している。事実、国民新党は大票田の全国特定郵便局長会などの支援を受けながら、一議席も取れなかった。
日本郵政ほど、政治に左右される組織もない。国を揺るがす騒動の末に民営化され、市場主義の行き過ぎが嫌われて再国有化。今度は、その"揺らぎ"に呆れた国民をおもんぱかって、政治(民主党)は態度を決めかねている。

民主党は、国民新党との「同一法案を秋の臨時国会に提出する」という合意に基づき、法案を提出する方針だ。しかし、民営化で一丸となっている自民党はもちろん、連携を模索する公明党、みんなの党が、「民業圧迫」や「改革の後退」を理由に反対に回っており、法案成立の道筋はまったく見通せない。
民主党は、右顧左眄するポピュリズム政党であることを露呈したが、法案の行方はともかく、責任政党として、民営化に激しく反発、かんぽの宿を始めとする民営化利権を、国会内外で追及してきたことに関しては、"落とし前"をつけるべきだろう。
昨年5月15日、民主党、国民新党、社民党の国会議員有志12名は、日本郵政の西川善文社長(当時)を、特別背任等の疑いで東京地検に刑事告発している。
告発事実はかんぽの宿に関するもので、第一に「日本郵政が所有するかんぽの宿等を一般競争入札等の正当な入札手続きも取らず、少なくとも250億円の資産価値があることを知りながら108億8600万円で一括譲渡したこと」を問題としている。
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