日本のウェブサービスの新しい登竜門、WISH2010が多くの人の共感に支えられ開催

 日本初のネットサービスや製品を発掘する「WISH2010」というイベントが、8月28日、東京都内にてブログネットワークを活用したクチコミ・マーケティング会社アジャイルメディア・ネットワーク(AMN、東京都渋谷区)主催により、開催されました。エンジニア、起業家予備軍を中心に、会場には約500名の参加者が集いました。

週末にも関わらず約500名もの参加者が集い、会場は熱気に溢れていた

 「WISH」とは、「Web Innovation Share」の略で、「日本のウェブの未来を担うような可能性のある「サービス」や「端末」を、参加者全員で発掘・共有・応援する」ことを目的に、昨年生まれたばかりのイベントです。

 著名起業家を招いたパネルディスカッション、15組のプレゼンテーション、ライブパフォーマンス、表彰式、懇親会が実施され、Ustream等を通じて動画中継も配信されました。

 このイベントのきっかけは、AMN徳力基彦社長による昨年6月のとあるブログ投稿でした。「日本のウェブを盛り上げてくれそうなサービスや端末のプレゼンイベントをやってみませんか?」と題した呼びかけには、あっという間に数百名もの有志ボランティア、支援者、そしてスポンサーの協力が集まり、2009年8月に第1回目が開催されたのです。

 初回の成功を引継ぎ、今年は昨年を上回る期待を集めての開催でした。

パネルディスカッションの様子

 前半はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手2社から、「グリー」の田中良和社長、「ミクシィ」の原田明典副社長、そして「ツイッター」を運営するデジタルガレージグループCEO室の枝洋樹氏が参加して、「日本のウェブはいかにして世界を目指すべきか」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。

企業で働きながら個人的なプロジェクトとして「グリー」を立ち上げた田中氏の創業秘話、「グリーをスタートしてしばらくの間は、クレジットカードのキャッシングでサーバー代を支払っていた」話は、サービス立ち上げ時の資金調達の難しさと、田中氏の起業家としての腹の据わり方を物語るエピソードとして、会場からも驚きの声が上がりました。

 一方、ミクシー原田氏は、「資金調達を金儲けの手段と受け取らずに、自分の好きなことに24時間集中できる期間を確保するための手段と考えてほしい。(国内外問わず)試しに調達にチャレンジしてほしい」、「今の投資家は、いいサービスをさすがにほっておかない」と訴え、起業家予備軍へのエールを送りました。

 デジタルガレージの枝氏は、当初ビジネスモデルが明確でなくとも多くのユーザーを獲得し、投資家から調達に成功した資金で事業運営が出来ているツイッターの例を引き合いに出しました。

 また、同社で今年の春スタートさせたインキュベーションプロジェクト、「オープンネットワークラボ」を紹介し、成功した起業家からのノウハウを伝えることで、若いスタートアップ企業の成長スピードを早くしたい、と抱負を語りました。

社会性、公共性を備えたサービスが多く登場

 後半は15組のプレゼンターが、制限時間7分間で、それぞれのサービス、製品の魅力を、プレゼンテーションを通じて競い合いました。事前に応募のあった42件の中から、1次選考を通過した10組、そして残りの32件のエントリーの中からインターネット上の一般参加者による人気投票で選ばれた5組が、発表の機会が得られるしくみです。

 WISH2010大賞には、電子書籍の作成と販売サービス、「ブクログのパブー」が、個人が出版社や印刷会社を通さず、安価で手軽に、まるでブログを書くように電子書籍を作れるサービスとして、10人の審査委員、会場の参加者、「ツイッター」や動画共有サイトの視聴者らの投票により選ばれました。

「毎日jp賞」も同時に獲得した同サイトへの審査員の講評は、「誰もが簡単に自分の表現を形にでき、発表の場がある、そこで人と本が出会い、人と人が出会い、人が世界とつながり、新しいものが生まれる。

 戦後ガリ版刷りの同人誌などによって多くの優れた文化が生まれたのと同じことが今後起こると思う」、との評価と期待を受けての受賞でした。

 昨年と比較し、今年のWISHを体験して個人的にとても印象的だったことは、ソーシャルメディアを活用し、社会性、公共性を持ち、一人ひとりの生活の可能性を広げるサービスが多かったことが挙げられます。

 例えば、全国の図書館の蔵書情報と貸し出し状況を簡単に検索できるサービス「カーリル」(asahi.com賞受賞)は、全国5000館もの図書館・図書室に対応し、読みたい本が近くの図書館で貸し出し可能かを簡単に検索することを可能にしてくれるサービスです。

 全国5000館の図書館とネットを見ている人をつなぐという試みは、社会性、公共性という観点からも非常に新鮮で、注目を浴びていました。

 その他、癌などの人生観が変わるような病気にかかった患者さんやその家族のための医療系コミュニティサイト「ライフパレット」、また、『お金を借りたい個人』と『お金を貸したい個人』をネット上で結びつける融資仲介(ソーシャル・レンディング)サービスを提供する「アクシュ」のプレゼンテーションも、医療と金融におけるソーシャルメディアの活用事例ということで、入賞は逃したものの、注目と期待を集めていました。

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