
経営再建中の日本航空(JAL)は更生計画最終案の提出を8月31日に控えているが、その前日30日に、その最終案を入手した(上写真)。
その内容をみて、まず、驚くのは、筆者が、これまで本コラムで何度も懸念を表面してきたように、最後まで、主要行からリファイナンスへの協力の約束を取り付けられず、2次破たんの懸念を払しょくできなかった点だ。
更正計画では、具体的な合理化、資本増強などの対策として、①燃費の悪い3機種を退役させる、②国内10、国際39の不採算路線から撤退する、③48714人の人員を3年間で32597人に減らす、④ホテル事業を売却し、コア事業に集中する、⑤機構からの増資(3500億円)と金融機関の債権カット(カット率87.5%、総額5215億円)――などを盛り込んでいる。
しかし、こうした合理化策では、抜本的なビジネスモデルの転換にまでは至らない。不十分な内容である。それゆえ、この期に及んでも、ついに、主要各行から新規融資についての協力を取り付けることができなかった。
その結果、色濃く残ってしまった2次破綻リスクについて、更生計画そのものも、「SARSや新型インフルエンザ、リーマンショックといったイベントリスク」への対応が「今後における経営上の課題」と認めざるを得なかった。
そもそも市場競争に敗れて淘汰されるべきJALをここまで延命させてきただけでも、自由主義経済国の政府のあり方を大きく逸脱してきたといえる。今回はさらに踏み込んでいる。企業再生支援機構が、常識的な管財人の立場を逸脱して、今後も「事業継続や義務の履行に必要な追加の財政上の支援(出資・融資・保証)を含む諸施策を実行し、予期せぬイベントリスクに即応できる強回な経営体質を構築する」と明記しているのである。要するに、もはや何でもありで、JALの経営を丸抱えで支えていく方針を鮮明にしたのである。
これに伴い、まず懸念されるのが、公的資金(血税)の回収の確実性だ。機構がこれまでに投入を決めた公的資金(約1兆円の血税)の枠に拘らず、今後は機構が持つ公的資金(同じく血税、最大約3兆円)を使い尽くすまで、JALへの投入が無制限に行われる可能性が出てきた。はたして国民は一航空会社の救済に巨額の血税を投入することを望んでいるのだろうか。
また、国際的な航空市場の公正競争を歪める側面も看過できない。欧米諸国や、内外の航空会社から、強い批判を招き、激しい経済摩擦を引き起こす可能性も大きい。
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