官民14兆円も投じたが、「跡地利用」も迷走し効果が上がらない「地デジ改革」を成功させる方法
「総務省、地上デジタルテレビ放送のご案内」HPより

 「カラー放送の開始以来、約50年ぶりの大改革」と言われた「地デジ」(地上波テレビ放送のデジタル化)が大詰めを迎えた。

 今月24日に、東日本大震災で被災した東北3県を除いて、サイマル放送(従来のアナログ放送)が終了し、地デジへの移行が完了するからだ。

 しかし、国家的事業の看板に反して、その成否を巡る議論は貧弱である。

 というのは、デジタルテレビを購入できない弱者の切り捨てに繋がるという人道的批判と、デジタル化に伴って画質が鮮明になったなどとする供給(政府・総務省)側の肯定論に議論が2極分化しており、定見が確立されていないからだ。 

 むしろ、デジタル化の成否は、かつてデジタル化を推進する大義とされた経済的効果の検証を通じて判定すべきではないか、と筆者は考える。

関東圏だけで地デジ未対応は90万世帯

 まず、日本共産党の「しんぶん赤旗」の記事を紹介しよう。

 同紙は今年4月25日付で「地デジ移行、全国でも延期を 震災で普及活動に遅れ・テレビ難民 数百万人にも」との見出しを付けた記事を掲載して、「7月24日に予定されている地上デジタル放送への完全移行まで、残り3ヵ月。総務省は(4月)20日、東日本大震災の被害が大きい岩手、宮城、福島の3県で移行延期を決めました。一方、有識者や市民から『全国でも延期を』の声が上がっています」との主張を展開した。

 全国でも延期が必要な理由については、「震災の被害を受けたのは東北3県だけではありません。震災で修理が必要なアンテナなどの施設は、茨城県で3200世帯など関東地域では4900世帯になります。東北3県(1万4400世帯)の3分の1に相当します」

 「もともと、関東地域はビル陰難視聴対策や集合住宅・戸建て住宅での地デジ対応が遅れていました。地デジ電波が届かない『新たな難視』世帯も多く、地デジ未対応世帯は総務省調査でも約90万世帯にのぼります」

 「低所得層や高齢層が、まだ地デジに切り替えられていない実情があります」

 と述べた。

 震災前から、赤旗のように、地デジの普及の遅れを理由に、このままいけば、テレビを視られなくなる視聴者が出て、混乱の中で地デジが失敗するとして、アナログ停波の先送りを求める主張は根強かった。赤旗は、震災後も、そうした主張の代表例だ。

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