財政諮問会議を復活させ、政府・日銀はこの秘策で円高に挑め
予備費や新型オペの拡大では効果がない

 筆者は、ここ2回のこのコラムで円高の警報を発してきた。

 8月9日のコラムでは、同月10日に行われる日米金融政策で、日銀は無策だがFRB(米国連邦準備理事会)は事実上の金融緩和となって円高が加速されることを、8月23日のコラムでは、政治状況から31日ごろに政府・日銀の経済対策が出されることを指摘した。

 いずれもそのとおりになった。日本の株価は円高パンチで米国より幾分下げ幅が大きいが、何もインサイダー情報があったわけでない。

 9月1日告示、14日投票という民主党代表選という政治スケジュールから、政府・日銀の官僚機構が動かないことがわかれば合理的に推測できることだ。誰が政権のトップになるのかわからない段階で、官僚は保身に走り、一方に肩入れしないのである。

 日銀はもともとデフレ指向が強いうえに、民主党代表戦への対応で、10日に政治的に動かなかった公算が高い。その結果、30日か31日(外電は30日と報道)に臨時政策決定会合を開かざるを得なくなるという大失態を演じてしまった。

 10日にそこそこの緩和策を出しおけば、これほどの円高にならず、株安も米国株安につられたという説明が可能であっただろう。金融政策は「FORWARD LOOKING」が重要だという。もともと、金融政策の物価への効果がでるのが半年、場合によっては2年も先になるから、先を見よということだ。白川方明日銀総裁はかつて何度も口にしていた言葉であるが、さすがに今いうのは恥ずかしいだろう。

 さらに、インフレ目標について、日銀は政府からの手段の独立性を確保できるにもかかわらず、白川総裁はさしたる意味もなく頑固として拒否している。それが仇になって、かえって日銀の手段の独立性さえ危うくなっているのだ。

日銀はバランスシートを拡大する覚悟を

 それにしても、ことここにいたっても、政府・日銀の官僚機構は動かないようだ。というのは、民主党の経済政策を批判しまくっている筆者のところにさえ、複数の現役大臣から今度の経済対策の感想を求めるかのごとく問い合わせがあるのだ。実際に役所大臣室で会うのは、官僚の間で筆者の面がばれているので都合が悪く、別の場所にしているが…。

 今報道されているような経済対策では、申し訳ないが、とても及第点はあげられない。

 今年度予算の予備費9000億円を使って、雇用や中小企業対策、エコポイントの延長などがあがっているが、マクロ効果無視で自省の利益追求のいつもの霞ヶ関定番の予算ぶんどりに過ぎない。

 実は、今回の円高が、日米での金融政策の対応差から出てきたことを忘れてはいけない。

 予備費は新規国債発行ではないので逆に円高を加速することはなりにくいが、円高対策にもならない。どうせ予備費を使うなら、新規国債発行の減額や、さらにマーケットにサプライズを与えるものとして、財務省による長期国債の買いオペを実施する手がある。こうした「金融対策」のほうが、直接円高に対応できる。

 と同時に、財務省による為替介入についても、いつまでも口先だけですませず、実弾を撃つことも必要だ。そのために、各年度予算で介入枠を準備している。その場合、韓国ウォンなどの特定通貨に絞って行うことは効果的である。

 これら財務省による長期国債買いオペや為替介入は、国会議決は不要で財務大臣の決断さえあれば実現できる。短期的には金融緩和と同じような効果になり、一時期円高を反転できる。そうしている間に、日銀による本格的な量的緩和を行えば、円高をギアバックできるだろう。

 では本格的な金融緩和を実施するのか。報道されている日銀の対策は、新型オペの規模拡大や期間延長だが、すでにマーケットには織り込まれつつある。今の段階では、長期国債買い切りの増額など、日銀が自らのバランスシートを拡大させるかどうかがポイントになっている。

 政府内では、現行日銀法との関係で、日銀にモノを言えない雰囲気がある。たしかに、現行日銀法には不備があり、政府から日銀に目標を与えられない仕組みである。しかし、政府と日銀がコミュニケーションをとることは当然認められる。その中で、目標を共有することはまったく問題ない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら