8月28日、すでに初秋の北京は、まるで永田町が引っ越してきたかのような賑やかさだった。岡田克也外相、野田佳彦財務相、直嶋正行経産相、山田正彦農水相、小沢鋭仁環境相、自見庄三郎金融担当相・・・。菅直人内閣の6大臣と副大臣らが勢揃いして、第3回日中ハイレベル経済対話が開かれた。
昨年末に、小沢一郎幹事長(当時)率いる143人の民主党国会議員が北京を訪れ、中国側を驚愕させたものだが、今回、これほど多くの政府高官が同時に北京入りするのも、極めて異例のことだ。すべては、菅政権の中国重視の表れに他ならない。
だが、中国側はさぞかし「熱烈歓迎」かと思いきや、そうでもなかった。中国のある外交関係者は、口をとがらせて不満をぶちまけた。
「日本は中国との関係を、一体何と考えているのか、理解に苦しむ。5月末に温家宝総理が訪日して、鳩山首相と首脳会談を行ったと思ったら、その二日後に辞職を発表した。
あれは中国にとって、大変ショックな出来事だった。ところが今回も、日本から大勢の大臣、副大臣が雁首揃えてやって来たが、2週間後の民主党代表選で小沢政権ができたら皆クビだ。それが分かっていて、日本側は強行にこの日程を指定してきたのだから、これはわが国に対する冒涜ではないか」
確かにそう言われては、返す言葉もない。もしかしたら菅首相は、「最後の線香花火」ではないが、わずか3ヵ月ほどで消えゆく自己の政権の「外交成果」の証として、中国外遊という「晴れの舞台」を設定したのではないかと勘ぐりたくもなる。この中国の外務官僚が続ける。
「こうした日本側の事情で、今回の中日ハイレベル経済対話は、極めて単調かつ表面的なものになった。アメリカとの同様の中米経済戦略対話の『真剣勝負』とは雲泥の差だ。たまたま同時期に、前駐日大使の崔天凱外交部副部長(副外相)が訪米したが、こちらの方が、われわれは何倍も入念な準備を行った。
せっかくの週末の土曜日を、なぜこんな無意味な会議に費やさなければならなかったのかというのが、われわれ中国側のホンネだ。ちなみに、APEC(アジア太平洋経済協力会議)が11月に横浜で開かれるが、こちらも約2ヵ月前になっても議題すら決められない。主催国の日本側は、『とにかく民主党代表選まで待ってください』と言うばかりだからだ。
このところ、ASEAN(東南アジア諸国連合)の各国が、突如としてアメリカに秋波を送り始めたのも、日本に対する不安感の表れではないのか」
日本は1970年代以降、「アジア代表」として胸を張って先進国サミットに繰り出して行ったものだが、いまや日本外交も、落ちぶれたものである。
だが最近の中国は、落ちぶれゆく日本に憐憫の情を抱きつつも、その一方で、日本への急接近を図っている。
これは第一に、米中関係の悪化に伴い、日米離反を狙っているからであり、第二に、自国の台頭に伴って、良くも悪くも日本の「経験」が何よりも参考になるからである。
一昔前まで、「日本を叩けば叩くほど支持される」と言われた中国マスコミも、最近はアメリカ批判に精を出しており、日本批判はすっかり陰を潜めている。
逆に、「稲盛和夫が説く日本再生」「大前研一に聞くアジアの未来」「剣道と書道で政治を学ぶ松下政経塾潜入ルポ」「草津温泉に見る日本の礼儀作法」といった`日本ヨイショ記事`が連日、新聞紙面を飾る。
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