密林の奥地に商品をお届け! ネスレ船がアマゾンをゆく

BRAZIL・マクリーンズ(カナダ)

2010年09月20日(月)

遠隔地の住民に商品を直接販売する世界的企業。
だが、そのやりかたに対しては批判も少なくない。

 コーヒー色に濁ったアマゾン川をのんびり航行する、お菓子のパッケージがペイントされた青い船。

 船が接岸するや、人々がいそいそと乗船し、買い物を済ませていく。なんとこの船は、飲料や食料品を売る"水上スーパーマーケット"なのだ。

 今年7月、世界最大の食品会社「ネスレ」のブラジル法人が自社製品を積んだ船の運航を始めたのである。

 約30坪の船内には、チョコレートやクッキー、アイスなど、同社の商品が300種類近くも並べられている。アマゾン川流域には貧困層が多いことを考慮して、商品は小分けされ、購入しやすい価格に設定されている。

"ネスレ船"の世界進出も計画されている。マクリーンズ(カナダ)より

 現在、アマゾンの奥地では、約80万のブラジル人が生活している。だが、熱帯雨林や河川で隔離されたそれらの地域には商店がほとんどない。日用品を購入するためだけでも、船で都市部に出るしかないのだ。

 そこに着目したネスレ・ブラジルが、船で潜在的消費者であるアマゾン川流域の住民のもとへ出向くことにした。

「私たちはお客さまのところへ直接伺いたいと考えました。この船は、アマゾン住民に向けたサービスです」と同社CEOのイヴァン・ズリタは語る。

 だが"ネスレ船"には批判の声も少なくない。砂糖を多く含む同社の商品を食べれば、肥満など健康面での問題が増える懸念があるからだ。

 それでも、アマゾンで働く人類学者のジェシカ・ケレキスのように「そんなのは大きなお世話」と言う人もいる。

「ブラジルのほかの地域では、誰もがヨーグルトやポテトチップスを買って食べています。人は、『企業が自分たちの商品で貧しい人々からなけなしの金を吸い上げている』と批判しますが、それはたんに、『昔ながらのアマゾンのイメージが壊れてほしくない』という勝手な願望に過ぎません」



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