気をつけろ! ニッポン経済「10月危機」の全容
これから大変なことになるらしい

 デフレに苦しむこの国をさらに痛めつける円高と株安。このまま大恐慌に突入するのか。我々は生活を守れるのか。誰が失政の真の元凶なのか・・・。第一線の専門家たちが徹底的に分析、予測する。

株価は7000円割れも

「8月12日、1ドル=84円70銭台と15年ぶりの円高になったとき、うちの社内では大変な騒ぎになりましたよ。『今度は為替でやられるのか!』とね。赤字や大規模リコール問題などで受けた大打撃からようやく立ち直って、4~6月期の連結決算で2116億円の営業利益を上げたばかりだったのに・・・。今後もどうなるか不安です」

 こう漏らすのは、トヨタの営業担当幹部だ。

 菅政権下の日本経済で、底なしの円高が止まらない。1ドル=80円台前半どころか70円台に突入し、「1995年4月の市場最高値(79円75銭)を突破するのは間違いない」(明治大学教授・高木勝氏)という。

 当然、大ダメージを受けるのは、日本経済を支える自動車や電機などの輸出産業。たとえばトヨタでは、

「うちの想定レートは1ドル=90円で、1円の円高によって約300億円の損が出る。85円を超えたので、単純計算すると、1500億円以上の利益が消えたことになります」(前出の幹部)

 というから只事ではない。

 日立製作所の社員も、

「円の高騰はショックです。わが社は想定レートが1ドル=85円で、1円動くごとに損益が約37億円変動します。これ以上円高が進むと本当に厳しい。まあ、プラントなど長期的な社会インフラのビジネスもやっているので、短期的な相場の上下もある程度はヘッジできるのですが・・・」

 と明かす。

 危ない動きをしているのは、円相場だけではない。株価も急激に下げ続け、8月12日には、日経平均株価が9065円94銭と今年最安値を更新した。その後わずかに持ち直したものの、先行きは予断を許さない。

 円高が企業経営を直撃するのは前述の通りだが、株安も、決して株を持っている人だけに損害を与えるわけではない。株の値段が下がるというのは、それを発行する企業に集まるお金が減ることを意味する。その結果、企業は人のリストラや給与カットを強いられ、経営が低迷し、投資家以外の多くの人や会社も苦しめる。

「主に輸出企業の株安が株価全体を押し下げ、日経平均はまもなく8000円台に突入するでしょう。さらにどんどん下げて、7000円台を維持できなくなる可能性もあります。その結果、今年の秋、10月くらいに危機的な状況に陥るかもしれません。そのときは、円高も1ドル=77円前後まで進むと考えておく必要があります」(前出・高木氏)

 なぜ、日本経済はこんな先の見えない「凋落トレンド」に陥ったのか。

「日本政府と日銀の首脳が、世界のリーダーたちに比べて甚だしく劣るためです」

 と断じるのは、国際金融コンサルタントでスガシタパートナーズ社長の菅下清廣氏だ。菅下氏は昨年刊行した著書『世界のマネーは東へ動き出した!』で、「2010年の日本では円高・デフレ圧力が高まって、大不況が再燃する」という趣旨の予測をしている。

「日本は長い間、ひどいデフレ不況に苦しんできました。にもかかわらず、民主党政権はデフレを助長するような政策をとっています。菅直人首相は、消費税率アップなど増税による財政再建をめざし、税制面での控除もカットしていますが、これは明らかにデフレを悪化させる政策です」

 デフレとは、簡単に言えば、物価が持続的に下がっていくこと。こう聞くと、「モノが安く買えるのだから結構ではないか」と思う人もいるかもしれない。しかし実際には、モノを売る側の会社の利益が減るから、そこで働く人々の給料も減ったり、リストラされて失業者になったりする。

 その結果、会社も人々もお金を使わなくなり、ますますモノが売れなくなって、さらに物価が下がる・・・といった悪循環が生じる。また、ローンを抱えている人の実質的な負担は増え、会社は次々と潰れてしまう。

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