長谷川幸洋「ニュースの深層」
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小沢一郎「代表選出馬」で経済政策はどうなるのか

円高、株安、超低金利は
市場からのイエローカード

2010年08月27日(金) 長谷川 幸洋
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 民主党の小沢一郎前幹事長が党代表選への出馬を表明した。

 小沢と菅直人首相のどちらが勝つのかは予断を許さないが、どちらが勝った場合でも、代表選後の政権は経済政策を見直す可能性が強くなってきた。

 民主党内の小沢支持グループと菅直人首相支持グループの対立軸は「2009年総選挙マニフェスト(政権公約)を守るかどうか」になっている。小沢グループが「09年マニフェストへの回帰」を旗印に掲げる一方、菅内閣は「マニフェストの修正は当然」という立場である。

 では、小沢が勝てば単純に09年マニフェストに戻るのか、といえば、そうとは限らない。

 昨年の予算編成で公約の目玉だったガソリン税暫定税率廃止の先送りを決めたのは、小沢自身だった。もともと、小沢にとって政策は情勢次第でどうにでもなるものなのだ。

 小沢が負けた場合でも、菅首相は小沢支持派の存在を無視できない。小沢が仙谷や枝野幸男幹事長の更迭を要求する可能性もある。そうなれば、内閣と党役員人事の一新に合わせて政策路線も当然、変わる。

 一方、反小沢の急先鋒である仙谷由人官房長官もテレビ番組で「野党時代に考えたことを、一字一句修正もできないというのはあり得ない。現実の政治過程に入れば、そんなことはすぐ分かる」と述べ、09年マニフェストを修正する方針を明言している。

 これまでは小沢派と反小沢派の対立軸がマニフェストを守るかどうかであったとしても、代表選でもそうなるかどうかは不透明だ。現実に次の政権がスタートすれば、現実的な選択肢が浮上する公算が高い。

 なにより、ここは政策よりも政局である。

 小沢の代表選出馬で「小沢が勝てば、いつ解散に踏み切るのか」が最大の焦点に浮上した。

 民主党は自民党の政権たらい回しを強く批判してきた。鳩山由紀夫、菅直人、小沢一郎と政権が代われば、小沢が政権奪取後、直ちに解散に打って出てもおかしくない。

 自民党はじめ野党は直ちに総選挙準備に入るだろうが、候補者が決まっていない、みんなの党などは苦しい対応を迫られる。

 検察審査会の二度目の議決を控えた小沢はどんな議決が出るにせよ、解散総選挙によってダメージをリセットすることも可能になる。

 小沢は以上のような解散総選挙のメリットを十分に視野に入れて、出馬を決断したはずである。総選挙となれば、もちろん政策は全面見直しである。

 政策路線の見直しを迫られるのは、党内政局の流動化だけが理由ではない。日本経済が大きな転機にさしかかっているからだ。

 円高と連日のように年初来安値を更新している株安、さらに長期金利の0.9%割れは、日本経済が単なる腰折れとか二番底といった言葉では語りきれない「未体験ゾーン」に突入しつつある可能性を示している。

 円高が株安を招く展開はこれまでもあった。

 輸出製造業が日本経済の屋台骨になっている以上、円高でトヨタやパナソニックが打撃を受ければ株安を招くのは自然な展開である。そこに長期金利の低下も加わった。

 株安でリスクのある資産運用に慎重になった投資家が、より安全な国債に資金を振り向けた結果という説明がこれまでの通例である。だが、今回の長期金利低下には単なる資産運用ポートフォリオの組み替えにとどまらない深刻さが漂っている。

 それは、日本から企業が逃げ出しているという現実である。

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