雑誌
スクープ!福島第一原発現場からの内部告発
流れ出す放射能汚染水

ここは地獄、そして国民は何も知らない
〔PHOTO〕gettyimages

 溶けた核燃料を冷やすため、3ヵ月以上にわたって注入された水は、11万tを超える超高濃度汚染水へと姿を変えた。危機が、次の危機を招く。いつ果てるとも知れない恐怖、それが原発事故なのだ。

人間は近寄れない

「工程表は、ほぼ予定通りに進捗している」

 東京電力の武藤栄副社長(原子力・立地本部長)は、6月17日の記者会見で、そう言い放った。

 政府・東電による福島第一原発の事故処理の「工程表」では、7月中旬までに「原子炉の安定冷却を行う」としている。期限まであと1ヵ月足らず。武藤氏は「できる」と公言した。

 しかし、メルトダウンした原子炉の処置が、そんな短時間でできるのか。

〈1ヵ月で循環冷却するって? どうしてできるのって思う。・・・どうやったら1ヵ月でできるのか、解らないよ〉(6月17日)

 東電幹部に、そう異議を唱える人物がいる。しかもその人物は、福島第一原発の現場で実際に復旧に当たっている作業員の一人だ。

 東電と政府は、「原発事故は収束する」とのアピールを繰り返している。したがって、それを鵜呑みにしている国民も多い。だが実際に作業に当たっている人々からすれば、実態は「収束」とは程遠い。

〈問題1.夏場の作業員の働く時間を制限する? 時間が短いってことは人海戦術ってこと。どこに作業員の余裕があるのかなぁ? 問題2.1~3号機の原子炉建屋は高線量なのに、被曝管理、制限する? どこにいっぱい作業員がいる?〉

〈勘違いして欲しくないのは、循環冷却って言っても燃料貯蔵プール(SFP)の冷却と原子炉内(RPV)の冷却は違うってこと〉

〈RPVの循環冷却は、まだメルトダウンした燃料の現況は把握してないし、ルートもまだ検討してる段階だから非常に難しい〉

 福島第一原発事故は、事故後100日を超えて、新たな段階を迎えた。メルトダウンした核燃料を冷やすために注水されてきた大量の水が、いまや超高濃度汚染水へと変わり、溢れ出そうとしているのだ。

 そうなれば、すでに取り返しのつかないレベルに達している周囲の環境汚染、地下水の汚染、太平洋の海洋汚染が、さらに劇的に悪化する。そのうえ、そんな高濃度の汚染水が溢れた場所には、人間が近寄ることすらできない。

 この危機を回避するため、東京電力が立てた対応策は、汚染水の浄化処理システムを突貫工事で構築し、放射能の濃度を下げた水を循環させ、原子炉を冷やそうというものだ。

 ところが、頼みの綱のその計画が、脆くも頓挫しようとしている。肝心の浄化システムが、期待通りの性能を発揮するのかどうか、怪しくなってきたのだ。

 実はこの汚染水処理プランに対しても、前出の「現役作業員」は疑問を呈していた。彼を、仮に「ラッキー」氏としよう。彼が「告白」をしたのは、ツイッター(Twitter)上でのこと。ラッキー氏は、自分が原発の復旧作業に向かうのに合わせ、ご本人曰く「日記代わり」にツイッターに登録。以来、作業現場で起きたこと、思ったことを定期的に呟いている。

 同氏は東電社員ではなく、関連企業の作業員だ。しかし、その呟き(ツイート)を読むと、原発での作業経験と知識が豊富で、現場ではリーダー役も任される優秀な技術者であることがわかる。

 今回、本誌はこのラッキー氏の呟き=告白の一部を誌面上で紹介する。同氏の呟きは、東電が公表しない原発事故の過酷な実態、驚くべき「フクシマの真実」を極めてリアルに伝えている。政府・東電の発表する事実以外に、情報ルートはきわめて限定されているが、その意味でもこの「内部告発」は貴重だ。

 そして何より、ラッキー氏自身、「呟けるだけ呟く」と宣言した上で、過小評価と楽観論を繰り返す政府・東電をこう批判している。

〈東電や政府は楽観的な態度や推測を国民に伝えるのではなく、事実をありのままに、苦慮してる所は理由をしっかり説明するべきだと思う。国民の判断は人それぞれであり、国民の顔色を窺いながら、計算しながらの発表はしてはならない〉(6月4日)

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