東京ヤクルト 宮本慎也
〝究極の脇役〟のキーワードは「余力を残す」

みやもと・しんや '70年、大阪府生まれ。小学校3年から野球を始め、PL学園では2年時に春夏連覇を達成する。'95年にドラフト2位でヤクルトへ入団。契約金で5歳下の妹の海外留学費用を捻出し、両親に車を贈った。'04年のアテネ五輪では、長嶋茂雄監督から日本代表のキャプテンに指名されたが3位に終わる。'09年からコーチを兼任。昨年までの通算成績は2割8分2厘57本塁打503打点〔PHOTO〕濱崎慎治(以下同)

 リーグ最年長となる40歳5ヵ月で月間MVPを初受賞! プロ17年目にして絶好調の秘密に迫る

「守備に魅力を感じます。打者がヒットを打つ確率は30%程度です。でも守備では、100%の成功率が要求されます。相手打者や試合の状況によって、守備隊形や位置も変えなければならない。その駆け引きや、求められる質の高さに、僕は大きな魅力を感じるんです」

 こう語るのは、東京ヤクルトの名手・宮本慎也(40)である。今年でプロ17年目を迎える宮本は、これまでにゴールデングラブ賞を8回受賞。現役選手としては、阪神の城島健司(35)とともに最多の受賞回数を誇る。今シーズンも6月21日現在49試合に出場し、失策はたった一度しかしていない。

 だが今季好調なのは、守備だけではないのだ。4月に両リーグ最高の月間打率4割を記録し、リーグ最年長となる40歳5ヵ月で月間MVPを初めて受賞するなど、打棒も爆発しているのである。宮本の絶好調の秘密に迫った---。

 宮本が守備に〝開眼〟したのは、高校時代のことである。

「僕がPL学園(大阪府)に入学したのは、〝KKコンビ〟の清原さん(和博・43)や桑田さん(真澄・43)が卒業した直後で、一つ上の代には中日OBの立浪さん(和義・41)や日本ハムや阪神で活躍した片岡さん(篤史・41)がいました。特に同じショートのポジションに、立浪さんという素晴らしいお手本がいたのは僕にとって幸いでした。立浪さんは打球がどんなにイレギュラーバウンドしても、何事もなかったように処理し、一塁手の片岡さんに的確に送球する。見ていて惚れ惚れしました。『こんなショートになりたい』。立浪さんの背中を見て必死で練習しているうちに、自然と守備に自信が持てるようになったんです」

 宮本は「どれほど辛くても野球を止めようと思ったことはない」と語るが、そうした強靭な精神力が培われた背景には、実は二人の恩師との出会いがある。一人は、当時のPL学園監督・中村順司氏(64・現名古屋商科大学野球部監督)だ。