地域の頑張っている先生のプロジェクトに対してオンライン寄付ができるサイト、「ドナーズチューズ」

 ニューヨークに拠点を持つ非営利団体「ドナーズチューズ(DonorsChoose.org)」は、公立学校の先生と教育改善に関心を持つ個人をオンライン上で繋げる寄付サービスサイトを運営し、設立から10年を迎えています。

 そのユニークな点は、寄付の対象が大きなチャリティの団体ではなく、全米の公立学校の先生により提案される、子供たちのための「具体的な」教室でのプロジェクトである点です。

「教室で使う30人分のノート、ペン、クレヨンが欲しい(170ドル)」、「化学の実験に使う器材が欲しい(1100ドル)」、「生のアートに触れさせるために地域の美術館に連れていきたい(700ドル)」、「音楽プログラムのための16台のギターが欲しい(1000ドル)」というようなリクエストが、やる気に満ちた先生の提案とともに写真付きでウェブサイトに掲載されています。

 その背景には多くの公立学校では予算が非常に限られていて、特に貧困地域の学校では、先生が時に「自腹」で教材、文具等を購入しなければいけないこともある、厳しい現実があります。

 テーマや地域等で興味を持った個人が、プロジェクトに対して最低1ドルから簡単にオンラインに寄付をすることができます。目標寄付額に達した場合、リクエストしたものが直接ドナーズチューズから教室に送り届けられます。

 寄付金は税控除の対象になり、規定の期間中に目標額に達しない場合には、他のプロジェクトを選ぶか、ドナーズチューズにより緊急性の高いプロジェクトに充てられるか、或いは当初選んだ先生による別のプロジェクトに寄付することが可能です。

 設立から10年で延べ約5500万ドルの寄付が、約14万件のプロジェクトに、合計約330万人の子供たちに届けられています。

 寄付提供者には送られた物品等が教室でどのように活用されたかを写した写真、先生からのお礼の手紙、寄付金の使用明細等が送られます。100ドル以上の寄付をした方には子供たちからの手書きの「サンキュー・レター」が届きます。

スターバックス等の企業パートナーとも提携

 10年間の実績も評価され、最近では様々な企業とのパートナーシップも積極的に行っています。その中でも顕著なものが、スターバックスが今年の秋に導入を予定している新サービス「デジタル・チャンネル」における提携です。

 アップル社の音楽ポータル「iTunes」、 「ニューヨーク・タイムズ」、グルメサイトの「ザガット」等の有料コンテンツが無料で閲覧出来るこのサイトの中の地域コンテンツとして、ドナーズチューズが非営利団体として初めて選ばれたのです

 全米約6800もの店舗でドナーズチューズの各地域でのプロジェクトが簡単に閲覧できるようになり、コーヒーを飲みながら、地域の先生、子供たちに対しての寄付が可能になる予定です。

 スターバックスはフェイスブック上に既に1300万人近いファンのコミュニティを持ち、ツイッターでも100万人を超えるフォロワーを持っています。数多くの人の口コミ効果により、ドナーズチューズの活動には大きな弾みがつくことでしょう。

 一方、こうした提携により、地域、教育というような価値を重視するスターバックスのブランド価値の向上にも間違いなく、寄与することと思います。

 個人(寄付者・消費者)、学校(先生、子供たち)、地域、そして企業へと、多種多様なステイクホルダーを巻き込んで共感の輪が拡大していくサイクルを、ドナーズチューズの活動を通じて読み取ることが出来ます。

 ソーシャルメディアにより可能となった「共感の可視化」、そしてそこから生まれる「人、モノ、お金のマッチング」は、確実に進化しています。

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