最近の話題といえば、民主党代表選と円高だ。
お盆休みも終わり、8月23日にも、菅直人総理と白川方明日銀総裁が行われるとの報道があった。これは公式の予定でもないが、市場はこうした情報に振り回された。その後、日銀の独立性を考慮して、総理と日銀総裁との会談は先送りされ、直接会う代わりに電話会談になるかもしれないという報道もあった。
こうした報道の真偽は部外者にはわからないが、明らかなことが一つある。これらの情報のソースは、金融政策について無知なことだ。報道にある「日銀の独立性」の理解である。
ここで、中央銀行の独立性の復習をしておこう。
今年5月にバーナンキFRB(連邦準備理事会)議長が来日し日銀で講演した。その中で「『目標の独立性』(goal independence)と『手段の独立性』(instrument independence)の違いは有用だ。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することは困難だ。」とあった。
つまり、中央銀行の独立性とは、政府が目標を決めたうえでの、手段の独立性でしかない。もちろん、政府と中央銀行が、経済政策のために話しあうのはいい。そして、そして決められた目標の中で、中央銀行が実施内容を決めるという独立性をもつのだ。直接会うと反するか、電話なら反しないという中央銀行の独立性なんて存在しない。
そもそも、日本の金融政策では目標がはっきりしていない。中央銀行の仕事は物価安定であるから、他の先進国のように、例えば「物価上昇率を2%プラスマイナス1%の範囲を2年以内で達成する」と言う数値目標を政府が日銀に与えておけば、今回のようなドタバタはなかったはずだ。
8月9日のこのコラムで、金融政策について、日本は無策、米国は金融緩和となるので、円高圧力になると指摘した。事実、そのとおりになったわけである。もし、日銀に対してこのような物価目標があれば、日銀は9月の民主党代表選を控えて「弾」の出し惜しみなどという「政治的な判断」なんかできずに、10日に金融緩和を打ち出さざるを得なかったはずだ。じつは、先進国では、中央銀行の行動が政治的にならないように、こうした物価目標を定め、中央銀行の独立性を確保している。
いまや、日本の金融政策は、こうした合理的な動きからほど遠く、完全に「政治化」している。総理と日銀総裁の会合の見送りですら、その理由が日銀の独立性というデタラメなことからして、政治的な臭いがプンプンする。この意味で、目標がないことによって、すでに中央銀行の独立性に大きな問題が生じている。
日銀からみれば、金融政策の決定をできるだけ遅くしたい。できれば民主党代表選後の10月4、5日の金融政策決定会合、せめて、9月6、7日の同会合まで延ばしたい。そうでないと、政府の圧力に屈したとともに10日の決定が誤りだったことになるからだ。
政府からみると、やはり民主党代表選の動きが気にかかる。特に、現執行部とは距離のある「デフレ脱却議連(松原仁衆議院議員会長)」は、小沢系の議員が多く参加し党内140名といわれているので、気になるだろう。
今月31日には、勝間和代氏ら民間人の呼びかけによるデフレ脱却国民会議(筆者も呼びかけ人の一人)が公開シンポジウムを衆議院第二議員会館多目的ホールで開催する。パネリストとして、勝間和代氏、松原仁氏、浅尾慶一郎みんなの党政調会長、山本 幸三自由民主党政務調査会副会長が参加する。この会合は民間主体であるが、デフレ脱却議連のほか超党派での国会議員の参加が見込まれている。
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