『今だから言える日本政治の「タブー」』 著者:田原総一朗
『今だから言える日本政治の「タブー」』
著者:田原総一朗
扶桑社
定価1680円(本体:1600円)
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◎担当編集者よりの紹介◎

 時の人々を迎え、躊躇することなく旬の話題ついて当事者たちから本音を引き出し、予測不能の展開が視聴者を惹き付けた伝説的なディベート番組「サンデープロジェクト」。番組は1989年4月2日に始まり、2010年3月28日に終了した。その『サンデープロジェクト』の総括が本書である。

 世の風潮に流されることなく、話題の当事者に鋭く斬り込んでいくスタイルから一部の政治家たちは「あの番組に出ると政治生命が終わる」とまで恐怖し、さらには「日本で一番危険な番組」とまで言わしめるほどに濃い内容を取り上げ続けた。

 海部総理をはじめ、宮澤、橋本首相は番組出演がきっかけで退陣に追い込まれ、日本政府がひた隠す北朝鮮拉致被害者の安否については北朝鮮の高官にじかに取材をかけて真実の言葉を引き出した。他にも、番組スポンサーの商工ローン「日栄」を番組で追及するなど、前代未聞の「タブー」と言われていたことに挑戦し続けた。

「真実の追究」

 田原氏はあくまでこのことのためにジャーナリストとしては当たり前だが私利私欲は一切持たずに、政治と対峙をしてきた。相手とは一定の距離を保ち、しっかりと相手の言い分を引き出し、矛盾があればそこを突っ込んだ。だからこそ、恐怖しつつも言いたいことを言うために番組へと出演をしたのだ。

 そんな、日本の重要局面で番組引き出した「真実」の裏側が本書で明かされる。

【目次(一部抜粋)】

■第一章 テレビの非常識への挑戦

ワイドショーとして産声をあげた『サンプロ』

『サンプロ』の方向性を決めた「島田紳助」と「湾岸戦争」

竹下を追い詰めた「ほめ殺し」の裏・・・etc.

■第二章 終わりの始まり

宮澤総理が明言した「改革」への波紋

カメラが映し続けた羽田の動揺

久米・田原内閣・・・etc.

■第三章迷走する首相ポスト

渡辺美智雄痛恨のミス

「インチキ連立政権」の予想外の健闘

オウム真理教への強い関心・・・etc.

■第四章凡人と変人の素顔

「傷つかない男」小渕恵三と「面倒くさい男」橋本龍太郎

トップからの警告

総裁選目前の小泉からの相談・・・etc.

■第五章変貌を続ける世界と日本

「アメリカ同時多発自爆テロ」と「道路公団民営化」

北朝鮮が誠意を見せられない本当の理由

『サンプロ』終了の真相と「らしさ」を貫いた二一年・・・etc.

* * *

第二章  終わりの始まり

慣例破りの『総理と語る』を許可した官房長官

 前述したが、一九九三年になると、三月六日に金丸信が東京地検に脱税容疑で逮捕された。東京国税局が金丸の妻が死亡した際に受け取った遺産を調べ、日本債券信用銀行(現、あおぞら銀行)の割引金融債「ワリシン」の一部が申告されていない事実を突き止め、東京地検が逮捕に踏み切ったのだ。その後の家宅捜索で、数十億円の不正蓄財が発覚することになった。

 そして東京佐川急便から金丸が五億円の「ヤミ献金」を受けていた問題が前年に発覚してから、金丸への疑惑は強まるばかりで、同時に「政治とカネ」の関係が問題にされ、政治改革論議に再び火がつき、その政治改革を求める火の手は、九三年に入って、ますます勢いを強めていた。

 『サンプロ』でも一月一〇日には、政治改革を求める勢力の代表格だった大前研一(「平成維新の会」代表)、江田五月(「シリウス」代表)、細川護煕(「日本新党」代表)、羽田孜(「改革フォーラム21」代表)という「改革四天王」をスタジオに招いて政治改革を論じている。一月二四日の放送では東京佐川急便事件では渦中の人物でもあり、羽田らと「改革フォーラム21」を立ち上げた小沢一郎に登場してもらい、「政治改革」について議論した。

 さらに一月三一日には四野党の委員長、山花貞夫(「日本社会党」委員長)、石田幸四郎(「公明党」委員長)、不破哲三(「日本共産党」委員長)、大内啓伍(「民社党」委員長)らに出演してもらい、二月七日には自民党幹事長だった梶山静六に登場してもらった。いずれも、話の中心は「政治改革」である。

 その後も、『サンプロ』では一貫して政治改革をテーマとして採り上げていく。日本中が注目していたのが政治改革の行方であり、政治改革を求める声が日ごとに強まっていたからだ。そうした中、三月六日に金丸が逮捕され、ますます政治改革に対する国民の関心は高まっていく。

 「政治とカネ」の問題を解決しないかぎり、日本の政治は、何より自民党は立ち直れない状況にあったといっていい。