経済の死角

半年で“社長”が4人交代
ヤマハ発動機の「異常事態」

2010年01月18日(月) 週刊現代
週刊現代
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 26期ぶりに赤字(1820億円)に陥りそうなヤマハ発動機の社長人事が、迷走している。今年3月までの半年間で梶川隆氏(65歳)、戸上常司(とがみつねじ)氏(63歳)、木村隆昭氏(56歳)、柳弘之氏(55歳)と、4人もトップが交代する(木村氏は社長代行)。

「梶川氏は'05年1月、社長に就任しましたが、欧米市場の需要の低迷や人件費の増大などで、同社の収益を悪化させました。その責任を取り、'09年11月1日、退任。戸上氏に社長を禅譲しました。しかし、戸上氏は就任10日ほどで体調を崩し、同社は12月4日、木村氏が社長職務を代行すると発表した。ところがそのわずか18日後、今度は柳氏が3月25日付で社長に昇格する人事が、明らかになったのです」(全国紙経済部記者)

 ヤマハ発動機は一連の異動について、「将来の持続的成長を目指すため」と説明している。ただし、同社の事情に詳しい経済ジャーナリストは、ゴタゴタのウラには「お家騒動」があったと指摘する。

「社長退任後も取締役として残っていた梶川さんは、温厚な人柄で知られる戸上さんを後釜に据えることで、影響力を維持したかったようです。ところが戸上さんの入院後、梶川さんの前任社長で顧問の長谷川至(とおる)さんに近い、木村さんが社長代行に就いた。そのまま木村さんが社長に就く話もあった。しかし、社内で居場所を失うことに危機感を抱いた梶川さんが、強く抵抗したと聞いています」

 要は梶川派と長谷川派による勢力争いの結果、折衷案として生まれたのが、派閥色の薄い柳氏の社長昇進だったというわけだ。新体制で、梶川氏は取締役を解かれ、顧問に退く。『ヤマハ発動機の経営革新』(ダイヤモンド社)の共著がある、松蔭大学の中村元一教授が補足する。

「人事が迷走した背景には、多額の赤字を作った梶川さんの影響力を殺(そ)ごうとする、メインバンクのみずほコーポレート銀行などの意向もあったと思います」

 “エンスト”が続いた社長人事だが、これで業績回復となるか。


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