「公務員制度改革」に逆行する民主党政権を批判して経産省事務次官に退職を宣告された古賀茂明氏の「勇気」
民主党政権の本質は暴かれた
髙橋 洋一 プロフィール

  連日マスコミに登場し、話題のキャリア官僚がいる。私も旧知の経済産業省の古賀茂明氏(55)だ。古賀さんは民主党政権の公務員制度改革を不十分だと批判し、閑職に置かれてきた。そして、今回、経済産業省事務次官が7月中に退職するよう、古賀さんへ正式に求めてきたという。

 古賀さんのように、現役官僚のまま、はっきりとモノを外部にいう官僚はほいとんどいない。国会でもきちんと発言している。

 官僚はテレビなどメディアにはほとんど出ない一方で、記者クラブや広報を通じたり、役所の審議会委員のマスコミ幹部や有識者である学者などに「ご説明」する。官僚のほうからみれば、メディアに教えてあげるという意味で「レク」(レクチャー。講義する)という。

 一方、マスコミのほうは、文書(「ブツ」とかいって、これがあるとマスコミは大変ありがたいようだ)や有識者の意見を求める。文書は役所内にある審議会に出す資料そのままでも、マスコミは喜ぶ。ときどき、その資料を説明する幹部用に少し詳細なもので、説明すべき箇所の欄外にコメントがついているものがある。説明すべき箇所から線が引かれてコメントになっているので、役所では「タコ足」とかいう。これをマスコミにあげると、それこそ重要秘密資料でももらったかのようにとても喜ぶ。実はたいした資料ではない。

 また有識者にも官僚はレクをしておく。有名大学の審議会学者はそのためにいるようなものだ。マスコミは意見の当否より肩書きを求める。

 いずれにしても、官僚は裏では意見をかなり言っているが、表では言わないだけだ。

マスコミが報じない実態を暴いた古賀氏

 だから古賀さんのような表の行動をすると、役所からは相当なリアクションが予想される。官僚は時の政権の政策を執行するのが仕事であって、政権批判を個人的に行うところでない。そのために、税金で働いているのであって、言論活動をしたいなら、役所を辞めてから行え。ーーなどなどの批判だ。

 さらに、官僚は出勤時間や昼食時間は多少ルーズであるが、それらの記録管理が厳しくなったり、私用の電話やパソコン使用へのチェックを頻繁に行うことがある。

 おそらく、古賀さんの場合にも、今回のように事務次官が直接に退職要請する以上、それらのエビデンスをもって圧力をかけたのだろう。

 私も安倍政権で内閣参事官(総理大臣補佐官補)として官邸にいたとき、優秀で改革的な経産官僚を官邸に入れようとしたところ、些細な出勤状況の不備をあげつらって経産省はそれを潰した。

 古賀さんはもともと外で批判するような人でなかった。一般のサラリーマンなら、自分の企画が通らないことを外で批判したら社内処分を受けるかもしれない。しかし、古賀さんの場合は、公益があるので同じに論じられない。

 民主党の政権交代は、国民の期待を裏切ったことが多い。その筆頭は公務員改革だ。まさに、その民主党政権の公務員制度改革を、古賀さんは批判している。それは私も大いに共感し、マスコミが報じないその実態を、もっと広く国民に知らせるべきだと思う。

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