「公務員制度改革」に逆行する民主党政権を批判して経産省事務次官に退職を宣告された古賀茂明氏の「勇気」民主党政権の本質は暴かれた

2011年06月27日(月) 高橋 洋一
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 次の安倍政権で公務員改革への道が開けた。すったもんだの末、2007年7月国家公務員法改正が成立した。安倍総理が指揮し、渡辺喜美行革担当大臣が渾身の力をこめた結果だ。その直後に、安倍総理は体調を壊し、9月に辞任した。総理退任の時に、印象に残っている仕事として公務員改革を挙げていたのは、その担当者として仕事冥利に尽きる。私は安倍総理による政治任用だったので、総理退任とともに役人を辞めた。

 渡辺大臣は福田政権でも公務員改革を引き続き担当した。そして2008年6月国家公務員制度改革基本法が成立した。このとき私は民間人であったが渡辺大臣顧問として携わった。安倍政権と福田政権時の渡辺大臣は、補佐官として原英史さん(当時経産官僚)を擁し、八面六臂の活躍だった。

 そして国家公務員制度改革基本法の成立の後、国家公務員制度改革推進本部事務局が作られ、そこで牽引車になっていたのが、審議官だった古賀さんだ。同事務局には同法の実質的な立案者の原さんもいたが、2009年7月に退官した。原さんと私は10月に「政策工房」という会社を立ち上げ、政策コンサルタントを始めた。

政権を取ったら豹変した民主党

 麻生政権は公務員改革に否定的なムードだったので、政権交代に期待した人は多い。私は民主党の多くの人から公務員制度改革の意見を求められた。かなりの人が政治主導と表裏一体のものとして公務員制度改革をやろうとしていた。ちなみに、福田政権の公務員改革は、ねじれにも関わらず民主党も賛成だったものだ。

 ところが、2009年9月民主党に政権交代からまったく音沙汰なしだ。これでは古賀さんが怒るのも無理ない。

 菅政権は公務員制度改革法案を6月3日に一応出している。今回の政府法案のポイントは労働基本権拡大だ。それ以外の幹部人事制度改革や内閣人事局は、昨年鳩山内閣のときに提出された法案(審議未了で廃案)と同じで、改革というにはあまりにもシャビーな話だ。

 かつては、公務員制度改革の中心課題は、天下りの根絶や政治主導体制の確立だった。自公政権から鳩山政権にかけて、これらは中途半端なまま。逆行さえ見られる。官僚時代の知人から、「天下りしなくても、現役出向などの抜け道を民主党は合法化してくれたので、高給のまま公務員でいられる」と、民主党政権はいいとの声もある。国民は、政治主導や天下り根絶を民主党に期待したのに、この体たらくだ。

 今回の震災対応では、官邸の機能不全が露呈した。これは、本当の政治主導を確立できず、政治家たちが官僚を使いこなせていなかったことが原因だ。例えば原発対応で、関係機関が混乱したまま、官邸では内閣参与を大量起用、といった状況が見られたことがその一例だ。また、天下りに象徴される、経済産業省(原子力安全・保安院)と電力会社の馴れ合い関係が、安全性を損なっていたことも露呈した。労働基本権拡大より先に、こうした課題に一刻も早く手を打つべきだ。

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