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 8月6日、カリフォルニア州レイクタホで開催中の国際会議において、マイクロソフト会長ビル・ゲイツ氏は衝撃的な発言をしました。

「5年以内に、最高の教育は大学でではなく、オンライン上において無料で提供されるだろう」(「テッククランチ」の記事 (8/9/10)参照)

 彼が問題視していたのは、アメリカの私立大学の学費が高騰し、高等教育の機会均等が格差によって保てなくなりつつある現状、そして教科書等も非常にぶ厚いものになっている非効率さに対してでした。

 ゲイツ氏が描く教育の未来像を考える際、昨年9月に開講した世界で初めての学費無料のオンライン大学、「University of the People」 (UoPeople、ユニバーシティー・オブ・ザ・ピープル)は、来るべき未来を予兆させる試みと言えます。

 同大学は、地球上のあらゆる人、特に途上国の恵まれない人々に対し、所得、居住地域、人種、年齢、性別等にとらわれることなく、高等教育へのアクセスを提供することをミッションとしています。

 創業者であり学長でもあるシャイ・レシェフ(Shai Resef)氏は教育ビジネスで15年の実績を持つ億万長者の起業家で、私財から100万ドルを投じ、国連機関である「Global Alliance for ICT and Development (GAID)」の支援をとりつけ、2009年1月、事業開始にこぎつけました。

 学費の無料化を実現しているのは、オープンソースのテクノロジー、Open Course Ware(OCW:オープンコースウェア)と呼ばれる既存大学の公開講義コンテンツを用い、オンライン上で相互に学び合うしくみを導入しているからです。また著名大学の教授、大学院生等、約800名ものボランティア・インストラクターにも支えられています。

 授業料は無料ですが、入学登録費用に10~50ドル、単位取得のための試験費用に各10~100ドルの費用が、出身または居住国の経済状況に応じて必要とされ、運営費用に充てられます。先進国出身者の場合、卒業までに約40回の試験を受けるため、約4000ドルの費用が必要となる計算です。

 大学経営を持続可能にするには合計で1万人~1万5千人の生徒を受け入れる必要があるとされています。また一方で、事業主体は非営利団体のため、個人や篤志家からの寄付も収益源のひとつとして運営がなされています。

 入学条件には高校の卒業証明、授業を受けるに足る英語力、そしてエッセイの提出が課されており、既に多くの途上国を含む約100ヵ国から、延べ約500人の学生が入学しています。生徒の年齢も18歳から72歳まで(平均32歳)と幅広く、多様なバックグラウンドを持った学生同士で学びあうことが可能になっています。

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