ラオス国境の消えた街「ゴールデンシティ」の謎

エコノミスト(UK)より LAOS

2011年07月24日(日) クーリエ
2011.5.15にオープンした「ギャラクシー・マカオ」〔PHOTO〕gettyimages

 輝かしい未来を期待された、ラオス国境の経済特区。その繁栄と没落の裏には、中国の巨大な影があった。

「無数の中国人の死体が川へ捨てられている」

 ラオス北部、中国との国境沿いの村ボーテンで、半年ほど前にこんな恐ろしい噂が流れ始めた。

 熱帯雨林が広がるこの丘陵地帯に、豪華ホテルや巨大ショッピングモールが次々と誕生するようになったのはつい8年前。だがいまやそこは完全なゴーストタウンと化し、恐ろしい噂話だけが残骸のように漂っている。

 03年、ラオス政府はボーテンを経済特区に指定し、1640haもの土地を香港籍企業に貸し付けた。中国資本による地域発展を期待した政府は、ボーテンを未来の貿易と観光の中核都市として位置づけ、「ゴールデンシティ」と名づけた。その後、多くの起業家や観光客がその地に殺到した。

 ゴールデンシティ最大の目玉はカジノ産業だ。中国国内ではマカオを除いて賭博行為が禁止されている。だが当局もラオスまでは取り締まれない。そこに起業家たちが目をつけたのだ。

 中国人観光客が安心してギャンブルに没頭できるよう、街は中国風に造られた。中国風の制服を着たガードマンがいて、中国語が通じて、中国通貨が使える。まるで中国政府の支援を受けているかのようだった。

 だが昨年12月、複数の中国人観光客がカジノ場で軟禁され、負けるまで賭けを強制される事件が発生した。中国メディアは「ゴールデンシティの賭博詐欺事件」として一斉に報じた。

エコノミスト(UK)より

 3月には中国政府が動いた。渡航注意勧告を発令して警戒を呼びかけ、さらにラオス政府に対してカジノ場の閉鎖を求めた。そして4月、カジノ場は正式に閉鎖。巨大ホテルの廃業も決まり、街はかつての賑わいを完全に失った。最大で1万人いた人口も2000人にまで激減。こうしてゴールデンシティは崩壊した。

 だが、カジノ産業に味をしめた起業家たちはもう次を狙っている。ラオス、タイ、ミャンマーの3ヵ国が接する国境地帯、「ゴールデン・トライアングル」だ。そこでは、マカオ資本の美しい巨大カジノ場がつい最近完成したばかりだ。

 

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