序盤戦に入った次期大統領選挙
激しさを増す放送通信業界の駆け引き

基調対談で「借りてきた猫」のようにおとなしかったジュリアス・ジェナコウスキーFCC委員長(右)とNCTAプレジデントに就任したマイケル・パウエル元FCC委員長(左) (The Cable Show 2011にて筆者撮影)

 4月4日、バラク・オバマ大統領は2012年の次期大統領選にいちはやく「出馬」を宣言をした。1年半を越える大統領レースはいよいよ序盤戦に入り、米国の放送通信業界では選挙を意識した駆け引きが始まっている。前回「ワシントンの改革」を唱え、ハイテク業界や若者の支持を得て当選したオバマ大統領は、はたして再選できるのか。今回は、オバマ大統領とハイテク業界の駆け引きを追ってみよう。

大統領レースを意識する業界団体

 米国の放送通信行政は、連邦通信委員会(FCC)が牛耳っている。その委員長であるジュリアス・ジェナコウスキー氏がまるで"借りてきた猫"のようにおとなしい---これは、先週イリノイ州シカゴで開催されたCATV業界の祭典 The CableShow 2011の一場面だ。

 ケーブルテレビの業界団体NCTA(National Cable & Telecommunications Association)は2012年の大統領選挙を意識して、4月、マイケル・パウエル(Michel Powell)氏をプレジデントに起用した。同氏は、ジョージ・ブッシュ大統領(George Bush、共和党)時代にFCC委員長 を務めた大物ロビースト兼政治家だ。父親であるコリン・パウエル氏は、ブッシュ大統領の右腕として国務長官を務め、米国のイラク戦争を指揮 している。

 The CableShowでは毎年、FCC委員長によるパネル・セッションが開催される。今年も2日目のゼネラル・セッションでジェナコウスキー委員長を招いて対談がおこなわれたが、大先輩であるマイケル・パウエル氏を前に、現FCC委員長の萎縮ぶりは"ひときわ眼を引いた"。

 大統領選挙を前に、幹部の布陣を変えたのはCATV業界だけではない。放送業界団体であるNAB(National Association of Broadcasters)も、元上院議員だったゴードン・スミス(Gordon Smith)氏をプレジデントに起用 している。

 大統領レースが始まると、候補者や政党執行部は業界団体の支持を取り付けるために動きだす。そのため、各業界団体はこの時期を狙って懸案となっている規制や政策の解決に乗り出す。こうしたロビー活動の立役者として、大物ロビーストや政治家を業界団体のトップに起用するわけだ。

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