私が聞いた自民党参議院幹部たちのホンネ
参院会長を巡って大揺れ

 臨時国会も終わり、政界も夏休みとなっている。しかし、一方では、自民党参議院の会長選挙が8月11日に行われるし、他方では民主党内の権力闘争が9月の代表選挙に向けて活発になっている。今年は猛暑であるが、政治の世界も暑い夏であることには変わりはない。

 まず、自民党の参院会長選であるが、今回初めて選挙となった。谷川秀善氏と中曽根弘文氏の一騎打ちである。

 これまでは青木幹雄氏のような実力者が調整を図っていたが、それも不在であり、このような事態となった。

 派閥の論理、若手の論理、それぞれ一長一短あり、年功序列か実力かといった点もどちらがよいとは言えない。

 私もこの4月まで参議院自民党に属していたので、この問題に絡めて、実力者たちの発言を記録に残しておこう。

 昨年夏の総選挙で自民党が野に下ったとき、今後の自民党、とりわけ参議院自民党の再建策について、青木さんは私に、「次は、林芳正君とあんたとで、どちらがどのポストでもよいが、会長と幹事長を引き受けてもらわんといかんがな」と語っていた。

 当時会長だった青木さんは、3年前の参議院選挙を前にして、「選挙に活用する」という一点で、年功序列を乱して私を政審会長に抜擢したことがある。選挙に勝たねば元も子もないという明快な行動原理であった。

 しかし、その青木さんも病に倒れ、当時幹事長だった片山虎之助氏は、いまやたちあがれ日本の参議院議員であり、私は新党改革の代表である。

 私が、今年になってから自民党執行部批判を強め、4月に大島幹事長とさしで激論していた頃、尾辻会長は、私に「あなたに議員会長のポストを譲ることすら考えていたので、離党は再考してくれないか」と言い、またその数日後には、自民党副総裁に就任することを勧めた。

 しかし、青木さんの考えも尾辻さんの考えも現実のものとはならず、青木さんの跡目は息子が継ぎ、尾辻さんは参議院副議長となっている。谷川氏、中曽根氏のいずれが会長になるのか、そして参議院自民党はどうするのか、ねじれ国会だけにそれが大きな意味を持ってくる。

 一方、民主党では、9月の代表選挙を前に、菅氏対小沢氏の対決図式を中心に様々な動きが出てきている。菅内閣に対しては、世論調査では不支持の方が支持よりも多くなっているが、しかし、内閣の交代は望まないという声も強い。

 これまで、頻繁に総理の首を付け替えてきたことへの批判の表れであろう。全ては、9月の代表選挙の結果待ちという状況であるが、民主党は政権を担うことの重みを再確認してもらいたい。野党として、揚げ足取りも含めて政権批判を繰り返したときとは立場が違うのである。

大砲か、バターか

 政権に就いた以上は、この国をどう統治するのかという視点が不可欠であり、それは歴史的、哲学的な洞察が背景になければならない。 

 フランス第四共和制(第二次大戦後、ドゴールが1958年に第5共和制を始めるまでの政治体制)の宰相、マンデスフランスは、「統治するとは、選択することである」という明言を残している。これは、政治学の教科書的に載っている「政治とは希少資源の権威的配分である」ということでもある。

 つまり、たとえば財源が限られているのに、だだっ子のように、あれもこれもと要求するのは愚の骨頂であるということである。

 10ヵ月間政権を担当してみてやっとそのことに気づき始めたというのが、率直に言って現在の民主党ではないか。単純化して言えば、問題解決の方法は、財源を増やすか(たとえば消費税増税)、嘘で固めたマニフェストを国民に謝罪して撤回するかしかない。

 マンデスフランスの言うように、国を統治するときには、日々選択していくしかない。別の言葉で言えば、優先順位をつけるということである。

 政党間の差異は、その優先順位の付け方によって生じる。財政学の教科書的に言えば、「大砲かバターか」ということである。大砲が嫌になって連立を去った社民党もいれば、郵政見直しというバターが欲しくて政権に残っている国民新党もいる。

 政権を担う民主党が選択を誤れば、国は潰れてしまう。

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